白状します。僕は片付けが苦手です。掃除そのものが嫌いというより、物が「行き場をなくして」部屋に漂っている状態を放置しがちでした。そしてそういう部屋には、必ずと言っていいほど“ある物”が存在していました。何でも放り込む「とりあえず箱」です。
諸悪の根源は「とりあえず箱」だった
箱とは限りません。机の端、ソファの上、玄関脇の床。「とりあえずここに置いとこう」が成立する平面は、全部「とりあえず箱」です。郵便物、充電ケーブル、読みかけの本、いつか使うかもしれない説明書。判断を保留した物たちが、そこにどんどん積もっていきました。
当時の僕は、それを「片付けの第一歩」だと思い込んでいたんですよね。とりあえずまとめてあるんだから、半分片付いたようなものだと。完全な勘違いでした。
「あとで仕分ける」は永遠に来ない
とりあえず箱の正体は、収納ではなく判断の先送りです。「あとでまとめて仕分けよう」と思った“あとで”は、僕の経験上ほぼ来ません。来たとしても、量が増えて余計に面倒になってからです。
しかも一度箱に入れた物は、結局もう一度取り出して、また仕分けて、それぞれの場所にしまう。つまり確実に二度手間になります。一回で済むはずの作業を、わざわざ二回に分けていたわけです。我ながら非効率でした。
物に「住所」を決める
そこで考え方を変えました。散らかるのは、物の住所が決まっていないからだと。よく使う物から順に、定位置をひとつずつ決めていきました。爪切りはここ、リモコンはここ、鍵はここ、と。
「使ったら戻す」って当たり前のしつけみたいに言われますけど、あれは戻す場所が決まっている前提でしか成立しないんですよね。住所のない物は、戻しようがない。だから漂う。順番が逆だったと気づきました。
広い平面に物を置かない
もうひとつ効いたのが、机・床・椅子といった「広い平面」をできるだけ空けておくことです。平面は物を呼びます。一個置くと、その隣にもう一個置きたくなる。気づけば増殖している。
逆に言えば、平面が空いているほど部屋は散らかりません。何も置いていない机を一度キープできると、そこに物を置くのがなんだか惜しくなる。この心理的なブレーキが、思った以上に強力でした。
増えたら1つ手放す、戻すのは30秒で
仕組みを維持するために、ゆるいルールを2つだけ決めました。
- 1 in 1 out:同じ種類の物が増えたら、古いほうを1つ手放す。物の総量が増えなければ、住所があふれない。
- 30秒ルール:使った物を定位置に戻すまでの手数を、30秒以内に収める。手数が多いと、人は戻さない。
大事なのは、完璧な収納を目指さないことでした。ラベルもざっくり「書類」「工具」くらいの粒度で十分。細かく分類しすぎると、戻すのが面倒になってリバウンドします。続けられる雑さ、が正解でした。
結論:散らかりは性格じゃなく仕組みの問題
長いこと「自分はだらしない性格だから」と思っていましたが、違いました。散らかっていたのは、判断を先送りする箱を部屋に置いていたからです。仕組みを変えただけで、僕でも部屋を保てるようになりました。もし今、心当たりの“とりあえず置き場”があるなら、まずそれを一個なくすところから。性格を直すより、ずっと簡単です。